汚泥の底日誌

文章力向上と自分の書きたいことを書き殴るためのブログです。

第753回 アルラウネはなぜ人を食う?

常日頃からお世話になっております。

ケンロクエンです。

 

おかげさまで第753回です。

 

森を征く冒険者に迷い込んだ無垢の民。

右も左もわからぬ中でかすかに聞こえる艶声……。

声を頼りに歩みを進めると、巨大な花弁の中央に座する見目麗しく美しい女性が……。

なぜこんなところに?という疑問晴れぬまま近寄るも、女性が自分のことを誘う声に抗えず一歩、また一歩と寄って行った次の瞬間!!

踏み抜ける大地!落ちて行く身体!

気付いた時には謎の液体溜まる穴の底で、少しずつ、少しずつ肉体が溶けていく……。

 

アルラウネです。

 

人間の女性にそっくりの部分で男性を惑わし、近づいた者を養分として取り込むとされる伝承の魔物アルラウネ。

実は魔法の薬の原料として有名なマンドラゴラが女性の形をしているものがアルラウネと呼ばれるらしく、本質的には一緒のものなんだとか。

あの絶叫絶命ダイコンとアルラウネがイコールなのはちょっと笑えますね。

 

しかしこのアルラウネ……めっちゃ回りくどくないですか?

 

いやだって深い森の奥底でですよ?女性の身体を模したパーツを作り、そこでたまたまやってきた冒険者や迷い込んだ人を食べるって、いいとこ年に1回とかじゃないですか?

しかも相手は上記の通りアルラウネの知識もありそうな冒険者や帰れるか不安でびくびくしてる人なんですよ?

仮にみなさんが冒険者や迷い込んだ人だったとして、そんなめちゃくちゃ危険な状況の森の奥底で女性がうっふ〜ん♡あっは〜ん♡って言ってたからってダッシュ&ルパンダイブしますかね!?

「父さん、母さん、ごめん……俺は……いくよ!!」とノータイムで答える剛の者がこの汚泥の底日誌読者の中に絶対いないとは言えないので断言こそしませんが、とはいえ数少ない人間との出会いをモノにするためにはいささかやり方が残念な気がします。

 

これがマジで森の奥でうっふ〜ん♡あっは〜ん♡していた人とそれに突っ込んでいったヤバいやつがいて、その目撃談がアルラウネとして後世まで語り継がれたとかだったら面白いんですけど、それはそれで別種のホラーなので今回は除外。

 

アルラウネが実際にそういう生態をしている以上必ず意味があるはずなんですよ。

人間の女性を模したパーツを作ってまで捕食行動をする意味が!

 

こうした話を考えると現実にいる食虫植物が思い浮かびますけど、アレも基本的には水と光と土中の養分で育ちますからね。

なんならハエトリソウとかがハエを取ったりするのはどちらかというとオプション機能で、彼らが積極的にハエを取らなければならない状況というのは水や光が足りなかったり、土中の養分が枯渇してたりした時の最後の手段だったりします。

ハエトリソウのあの触ったらパクンと閉じる一連の動作もアレでめちゃくちゃエネルギーを使うらしく、意味もなく触ってパクパクさせてるとあっという間に枯れるそうです。

 

となるとアルラウネのうっふ〜ん♡あっは〜ん♡も実はうっふ〜ん♡(死ぬ!腹が減って死ぬ!!餓死する!!!)あっは〜ん♡(オラ!来い!歩くな走れ!!)という裏の声があるのかもしれません。

 

いや、だったらなおのこと人間をターゲットにするのは非効率では?

今年も一面のアルラウネ畑が満開です!とかマンドラゴラ育ててるとたまにできちゃうんだよね〜くらいに人の生活に密接だったりありふれた植物だったりするのならまだしも、深い森の奥底で自生するアルラウネが人間をターゲットにする意味がわからない……。

 

もしかして……人間はターゲットでは……ない?

 

そう考えると全てが繋がってきました。

そもそもいかにアルラウネが凶悪な植物だったとしても、植物が積極的に人間を狙うのはあまりにリスキー。

弓矢をはじめとするアルラウネの罠圏外から攻撃する道具を持っていたらそこから動けない以上一方的にやられるだけですし、万が一火種や植物に有害な薬剤を持っていたら死活問題です。

せっかく消化液の落とし穴に落としてもよっぽど入った瞬間溶けるような強酸でないと、土壁を登って脱出されてしまうかもしれませんし……。

 

ではなぜ人間を模したパーツを作ったのか。

ターゲットはそう、森を闊歩する獣や魔物なのではないでしょうか?

 

現実世界でも獣は自分より弱い生物を捕食して生きています。

なので道具を持たずに森の中でうっふ〜ん♡あっは〜ん♡と無防備に声を上げるアルラウネのパーツは極めて食べ頃なエサに見えることでしょう。

そうして近づいた獣を落とし穴にドボン!

四足獣は急角度には強くても垂直の壁を登れるような登坂能力には乏しいものも多いですし、むしろ彼らが無駄に足掻けば足掻くほど土壁は削れて穴は壺状になり、次なる犠牲者の脱出を阻む死の悪循環が生まれることでしょう……。

 

つまり!アルラウネに襲われた!とする過去の冒険者諸君!

自制心の足りないやべーやつの可能性、出てきましたね。

 

なんだか過去の人たちをゴリゴリに貶めた気がしないでもないですが「俺アルラウネに出会ったら森の中でも引っかかっちゃうな〜(笑)」なんて思ってるそこのあなた!

詐欺やセールストークには、気をつけましょうね!

 

 

なんだこのシメ。

 

 

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