常日頃からお世話になっております。
ケンロクエンです。
おかげさまで第162回です。
読了いたしました。ノベル版メタルギアソリッド4。
いや〜良かった!
メタルギアの重厚で重々しくも儚く切ない世界観と伊藤計劃さんの乾いた、硬質感のある死生観が見事にマッチしていてすごく読み応えのある作品でした。
そもそもの俺とメタルギアシリーズの出会いは高校生の頃。
重篤なメタルギアシリーズのファンである友人の家に遊びにいったところ、ちょうど彼がMGS3をクリアしているところでした。
彼はメタルギアを始めジョジョや洋楽を俺に布教し、その後社会人になってから人生でトップクラスの人間関係のトラブルを抱えた俺に図らずも解決のヒントをくれた素晴らしい友人、いや彼が俺のことをどう思ってるかは知りませんが、親友なのですが、まぁその話はまたいずれしましょう。
その彼からメタルギアソリッドポータブルオプスを貸し与えられ、メタルギアの道に引き入れられた俺はその後社会人になるまでに初代から4までを可能な限りプレイし、無理なものも色々探してストーリーを読み漁りました。
…理解できていたかはここでは話すのをやめましょうね。
そんなメタルギアシリーズのノベル版。
俺は著者である伊藤計劃さんのファンではあるのですが、このメタルギアだけは避けていました。
なんとなくゲームのノベライズに今まで手を出してこなかったから。
俺の中にあるゲームのメタルギアソリッド4をクリアした時のあの感情と食い違ってしまうのでは?という不安感。
好きだからこそ、気持ちの食い違いがあるかもというのが怖かったのです。
結果として感情は完全一致とはなりませんでした。
しかし、不快な気持ちはなく、これが伊藤計劃さんの見た、感じた、表現したメタルギアソリッド4である。という素直な気持ちが俺の中にあります。
本作はオタコンの回想、というかある人に向けてオタコンがまとめたメッセージとして書かれています。
なのでスネークの心情はあまり描写されません。
また、結構大幅にカットされている描写やキャラもあり、え?あいつ出ないの?という気持ちを随所に感じますが、そこにもちゃんと理由があるので、ぜひ最後まで、その後書きまで読み切ってほしいです。
作中オタコンはとにかく泣きそうになってます。
実際に泣いてしまうところもあるのですが、それ以上に涙を堪え、嗚咽を噛み殺してスネークのサポートにあたります。
スネークのような肉体を凌駕する精神こそないものの、彼を支え、サニーを見守り、おのれの過去と向き合うオタコンの姿は紛れもなく戦士。
でもシャドーモセスでメタルギアREXとRAYが戦う時だけはハチャメチャにテンションが上がっちゃう。
やっぱり巨大ロボは人間が動かさなくっちゃね!じゃねーぞ!オタコォォォン!
でもそんなとこが好きなんですよね。
メタルギアシリーズを知らない人にもわかるように過去の出来事を随所に散りばめ、説明されながら話が進むのですが、そのおかげもあってオタコンの心の痛みがゲーム中よりありありと感じられて、時に面白く、時に辛い。
伝説の傭兵、不可能を可能にする男の傍らに立ち進むことのなんと厳しいものか。
メタルギアシリーズを知らない人が見ても楽しめる一冊ですが、4をプレイした人こそ読んでもらいたいです。
きっともう一度4をやりたくなるはず。
老いが進み弱々しくも勇壮なスネークが、敵として立ちはだかるリキッドが、迷いながらも突き進む雷電が、贖罪を果たそうとするナオミが、そして其れ等を見聞きし受け止め、1つの作品にしたであろうオタコンの息遣いが、きっとこのノベル版メタルギアソリッド ガンズオブパトリオットから感じられるはずです。
もっと早く読んでおけばよかったなぁ…。
著者である伊藤計劃さん、メタルギアシリーズを生み出した小島秀夫監督、そして何よりこれを読む最初のきっかけになり俺に多大な影響、メタルギア的に言うとミームに影響を与えた親友に今一度大きな感謝を。
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