汚泥の底日誌

文章力向上と自分の書きたいことを書き殴るためのブログです。

第618回 萌えは怪異にどこまで対抗できるんだろう?

常日頃からお世話になっております。

ケンロクエンです。

 

おかげさまで第618回です。

 

みなさんは八尺様という都市伝説をご存知でしょうか?

発祥はインターネットらしいこの都市伝説では、八尺(2m40cm)はあろうかという巨大な女性型の怪異が登場します。

 

田舎に帰った青年が「ぽぽぽ…」とつぶやく巨大な女性に遭遇。

そのことを親族に話すと親族一同血相を変えて大騒ぎ。

八尺様に魅入られてしまった青年は親族の人にお札を持って一晩部屋に閉じこもることを命ぜられます。

 

怖くなった青年が部屋に引きこもって怯えていると、2階なのに窓をコツコツと叩く音が聞こえ、耳をすますとあの「ぽぽぽ…」という声が……。

恐怖に震える青年の元に届いたのは祖父の「もう大丈夫」という優しい声。

ホッとして扉に手をかけるも、ふと思い出す「朝まで部屋から出るんじゃない!」という祖父の言葉。

 

明らかに矛盾した言葉に不信感を抱き、扉から離れると聞こえてきたのはあの「ぽぽぽ…」の声。

泣きそうになりながら布団に包まり震えていると気づけば夜は明け、「ぽぽぽ…」の声も聞こえなくなっていました。

 

恐る恐る扉を開けると心配していた親族一同が出迎えてくれ、なんとか乗り切った模様。

その後も親族で固められたワンボックスカーの中心に押し込められて田舎を出るも、余程気に入られてしまったのか窓の外にちらりと見えたのはあの巨大な女性の大股の足。

 

結局のところ青年の身に怪異は降りかかることはなく、無事に帰ることはできたのですが、これがトラウマになったのか以後10年に渡り青年は田舎に帰ることはなく、日々を過ごします。

 

そしてそんな時その八尺様とのやりとりを同じ田舎出身者に話したところ、最近八尺様を祀っていた地蔵が壊された話を聞く……という後味の悪い終わり方をします。

 

さて、ネットに触れている人なら1度は耳にしたことのあるこの八尺様。

細部が異なるものの基本的にはこのような話で、中には八尺様に魅入られた者は連れ去られる、取り殺されるなどのバージョンも存在します。

取り殺されるバージョンでは同じ夏の怪異として有名なネット発の都市伝説である「くねくね」と混同されたのか、幼い兄弟のうちの兄or弟のどちらかが心身に支障をきたしたり、亡くなってしまうパターンがあります。

 

八尺様の特徴としてはその八尺に及ぶ巨大な体躯も去ることながら、服装がワンピースと鍔広の麦わら帽子という現代的な服装である点。

地蔵や祠によって祀られ、念仏やお札で対処可能な点から八尺様そのものはかなり古くからその地域に存在するようなのですが、服装を現代に適応させているのは見ようによっては恐ろしいところ。

 

なにせ八尺様の存在を知らない人からしたら、そのやけに大きな体躯もあくまで身体的特徴に過ぎず、「ぽぽぽ…」の口癖も八尺様がメジャーになった今でこそ「八尺様!?」となるかも知れませんが、初見かつ八尺様知識ゼロだと「星のカービィが好きなのかな?」「鼠先輩って今何してるんだろう?」くらいにしか感じないかも知れません。

それどころかマジで身長が高いだけの女性の可能性もあるので、迂闊に怪異と断定できないのが怖いところ。

 

物語の中でも巨大な体躯と「ぽぽぽ…」合わせ技一本でようやく八尺様と気付いた節がありますしね。

 

さらに外から窓を叩いたり、夜通し「ぽぽぽ…」を聞かせる、落ち着いたフリをして祖父の声を真似る=家の中に通じるはずの扉からアタックするという精神攻撃に関してはかなりの狡猾さを見せています。

 

原典の物語では青年は無事に田舎を脱したために事無きを得ましたが、扉を開けてしまった時はどうなってしまったのでしょうか?

 

季節が夏ということもあって、俺のTwitterのタイムラインにも八尺様に魅入られた人が多いのか、日々イラストが流れてきます。

 

少年大好き色々デッカいおねーさんとして。

 

えぇ……。

 

しかもどのイラストでも割と無邪気にはしゃぎ回る少年に振り回されがちに描かれており、怪異としての恐ろしさが描写されることは稀……。

 

が、しかし!これは妖怪などの怪異の成り立ちからしたら正しいのかもしれないのです。

 

そもそも妖怪などの怪異は当時では(現代でも)解明不可能な代物を「怪異」という枠に当て嵌めることによって理解しようとした側面があります。

よくわからないナニカに形を与えることによりそれを理解したり、人の形をしているなら目など共通の弱点もある!と対抗したりしたわけです。

 

となると怪異を萌えキャラに落とし込むのも「これだからオタクは…」と思いがちですが、萌えキャラという形に落とし込むことで無害化、味方化させているという解釈もできます。

 

できるったらできるんです!

 

さて!そんなことを考えながら少年大好きデカガールと化した八尺様を見てみましょう!

原典では青年とは昼にすれ違っただけで、行動に移したのは夜になってからですが、少年大好きデカガールとしての八尺様は昼日中から少年と一緒!

 

ゲェーッ!強化されてるぅー!?

 

しかも少年と一緒=「くねくね」混同パターンなので、くねくね由来の精神破壊スキルと即死スキルも兼ね備えてる可能性もあります!

Fate的な表現をすると複数の霊格が混合したハイ・サーヴァント!多数の伝承が混同されたが故の無辜の怪物!

 

だがしかし、少年が害されている描写はないため、無害っちゃ無害。

 

こんな感じで怪異を人の形や萌えキャラに落とし込み、無害化するのは現代的除霊法ですよね。

しかし人の形を与えるということは、人と見分けがつかなくなるということ。

原典の八尺様でもその体躯でありながら青年はそれが怪異とは思っていませんでしたし、あなたが人と思っているその人も、実は怪異なのかもしれませんね。

テレレレレーン テレレレレーン

テレレレテッテッ テレレレレーン

 

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