常日頃からお世話になっております。
ケンロクエンです。
おかげさまで第743回です。
その昔、とあるソシャゲをやっていました。
カッコいいキャラクターも可愛いキャラクターも多く、リリース前から楽しみにして事前登録もしたソレはサービス開始と同時に大手インフルエンサーに案件としてプレイしてもらうなどもあって「爆発的大ヒット!」とまでは言いませんが、順調なスタートを切ったように見えました。
ストーリーの方もめちゃくちゃ面白い!とまでは言いませんが、いわゆるクリフハンガー、各章の終わり方が後を引く、続きを見たくなる構成をしているおかげで楽しみになる良いストーリーでした。
ですが記念すべき初イベントで転機が訪れます。
悪い意味で……。
ギミックまみれでまともに動くことさえできず、アレだけ爽快だったゲーム性が見る影もなくなり、それを突破するためには配布されたばかりのイベント特効キャラを徹底的にサポートするか、ガチャで特効持ちのキャラが出ることを祈るだけ。
本当に近年のゲームか!?と疑いたくなるような内容にユーザーは加速度的に離れていき、Twitterでエゴサをしているとアレだけ毎日このゲームを楽しんでいたプレイヤーが1人、また1人と口をつぐみ、消え去っていくのが如実に感じられました。
ユーザーの代表面するわけではありませんが、それでも「これは俺たちのやりたかったゲームではない!」という確信があるくらいには残念だったこのイベントですが、その後運営はテコ入れなのかとんでもなくぶっ壊れなキャラを実装。
それまでギミックでガチガチだったそのゲームは、そのぶっ壊れキャラの登場によりギミックどころか相性すら崩壊した世紀末スタイルに移行。
全てを過去にしたキャラ1強の実装がトドメになったのか、はたまた終わりが決まったから最後の一稼ぎにどデカい花火をぶち上げたのかはわかりませんが、文字通り全てを過去に、そう、ゲームごとソシャゲの暗黒という過去に送ってしまいました。
その間わずか半年。
それまで俺はソシャゲをサービス終了までプレイしたことがなく、だいたい途中でやめてしまって気づいたらサービス終了してたというのばかりだったためにこの誕生から滅び去るまでの全てを見届けたという体験は非常に貴重で、そして今までにない経験でした。
その中で俺は気付きました。
こうした作品の「滅び」は製作者にとっては非常に遺憾で、辛く苦しいものなのでしょう。
しかし俺は感じてしまった……。
日に日にいなくなるプレイヤーたち、明らかに更新頻度の下がる公式サイトやTwitter、復刻ばかりになるイベントスケジュール、ちょっと前に限定と銘打って登場したキャラがすぐに再ピックアップ……。
そうした死神の足跡を聞きながら肌で感じる終わりの近さを、「滅び」もまた1つのコンテンツであると!!
打ち切り漫画なんかがこの手の話題によく上がりますが、「滅び」の愛好家というのはかなり存在します。
特にソシャゲの「滅び」はお祭りですからね。
だいたい終了の1〜2ヶ月前くらいにサービス終了の報せが入り、そこからしばらくすると有料コンテンツが閉鎖されるのですが、そこからはまさにフィーバータイム!!
買えなくなった石の代わりにコイツを使いな!と言わんばかりに大盤振る舞い!
逃れられないならばせめて盛大に……そんな感じで華々しく散っていくのです。
さて、こうした「滅び」のコンテンツですが、お察しの通り運営や製作者にとっては完全なるバッドエンドです。
そこで注目されるのが「終わらせ力」とでも言うべき才能です。
ストーリーを中途半端で終わらせなければならない以上どうにかして物語を終わらせなければなりません。
そこで残りわずかな期間で無理矢理伏線を回収したりしてストーリーを終わらせるのか、またはこれからもストーリーが続くことを示唆する終わらせ方をするのかなどを選択しなければならないわけですが、稀にこの終わらせ力が飛び抜けた作品が出てくることがありますよね。
各所に散りばめられた伏線を見事に回収し、わずかな期間でキッチリ物語を終わらせることで最初から既定路線だったかと錯覚するかのような終わらせ力は「滅び」のコンテンツ愛好家にとってはたまらないようで、こうした美しき「滅び」を迎えた作品は時として伝説として語り継がれます。
もちろん終わらせ力が足りなかった作品も少なくなく、よくわからないモヤモヤして「滅び」もやむなし扱いされることもあれば、暴走した終わらせ力が埒外の方向に走ったのか、誰もが想像し得なかった超展開で違う意味で伝説になる作品もあります。
そういう作品も愛好家は多いのですが……。
俺のやってたソシャゲ?
主人公が父親を探しに旅に出たら、割と早い段階で父親と再会できたけど、世の悪いことの黒幕は父親っぽいっていうところで投げっぱなしエンドだったよ。名実共にバッドエンドだね。
こういう時に必ず上がる「ソードマスターヤマト」ですが、アレマジで凄いですよね。
十数ページの短い中でソードマスターヤマトが人気がなくて打ち切りが決まったこと、最後の掲載3ページしかもらえないこと、ソードマスターヤマトのストーリーと各所に仕込んだ伏線を担当との会話という形で読者にわかりやすく説明した後、実際に3ページでソードマスターヤマトを終わらせるという疾走感溢れる終わり方。
アレは終わらせ力の極致……!!
どうせ終わるなら華々しく!美しく!「滅び」の美学を持ってエレガントに!!……なんて思いますが、志半ばの無念のバッドエンド、そんな歯切れ良く終われるメンタルなんて持ってる方が珍しいんだろうなぁ……。
世の創作者の方々、本当に凄い世界で働いてますよ。
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